ランサン川最初の開発地点漫湾150万KW
雲南が熱く燃えている。
中国雲南省の厚意によって,その開発計画の概要と数枚の貴重な写真を入手することが出来た。一部の計画は既に新聞発表も行われてはいるが,資料は極めて我々にとって新鮮なものであった。今後,中国の経済発展や,下流メコン流域国との協力が進んで行くものと思われるが,時至れば,水力技術者として一定の貢献が出来ればと思って筆を執る。
階段状の多くの計画があるが,私が注目しているのは,1992年当時から話題となっていた小湾計画と,新たに計画の中に入ってきた下流の
Nuozhadu 計画(漢字で書けない)である。いずれも150億トンから220億トンの池容量を持って,下流の流況に大きな影響を与える。これは,利水の面からは下流の渇水量を大きく増やして,下流の水利用や舟運,更にはメコンデルタの塩害を少なからず助けることになる。中流部や下流部に大きな貯水池が建設できない下流国にとっては,これこそメコン開発の鍵となる計画なのである。しかし逆に,20万平方kmの土砂流送を遮断して,下流へ洗掘等の悪影響を及ぼす可能性もある。これらの兼ね合いで今後の開発が議論されることになる。
小湾計画は,中国側によって既に開発調査が終了して,2010年代にも実現したいとして,予備的な協議が下流国との間で進んでいる。雲南省の高官は「我々開発しようと思えば出来るけれども,我々は国際河川のルールはあくまで尊重する」と話しているが,やはり開発資金の問題であり,国際河川の常識をはずしては国際資金の目処が立たないことを良く了解しているわけである。
今まで政治が障害となっていたメコンの上流と下流であるが,今や話し合いが行われて,ランサン川の開発が進もうとしている。人類のエネルギー問題への,国際的なアプローチが始まろうとしている重要な地域として注目したい。