ラオスの開発への悩み
− スリバン産業大臣の涙ながらの訴え −
4年前のルワンプラバンでのメコン総会席上で,フランス代表が立ち上がって,「ラオスのみなさまよ,もうこれ以上熱帯林を潰すような計画は駄目ですよ」という意味の演説を行ったが,そのときの白けた会場を思い出す,「自分たちは散々開発を行って豊かになっておきながら・・・・」と言うのがラオスの人たちの偽らざる心境であっただろう。
あれから4年,ラオスは豊かな包蔵水力を民間資金で開発する方針を打ち出して,今や世界の注目を集めている。しかし,この開発は容易ではない。スリバン産業大臣は,下を向いて絞り出すような声で,「足立さんよ,私たちは二つの問題で苦しい立場に立っている,しかし私はこの障害が決して永久的な障害ではないと信じている」と前置きして述べたのは,ナムテン水力に世銀資金の導入を図った途端,環境問題で計画が中断していること,更に,売電単価の交渉でタイの電力公社が容易にラオスの希望を入れないこと,の2点である。小国ラオスにとっては,「何故我々の発展への意欲を理解してくれないのか」と,大臣の涙混じりの苦悩をどのように理解するか。