Vietnam
July 8 to 17, 2002
(平成14年7月8日〜7月17日)
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ベトナムには,1999年4月に訪問して,ホアビン発電所などの写真を提供したが,その後,この前,2002年1月の訪問では,ハノイだけであったため,公開するほどの写真が無く,今回の訪問となった。今回は,南部のホーチミンを初め,その近郊にあるチアン水力発電所,南にあるフーミー天然ガス火力発電所,その南のガスパイプラインの起点であり,観光地と化したブンタウを訪ねる機会を得た。

今回のベトナムの新しい発見は,ヤリ水力の完成に続き,北のダイティ貯水池の建設に独自に着工しており,いよいよベトナムは自力着工まで経済的な力を付けて来つつある,と言うことで,おそらく懸案の北の大規模水力ソンラも,自らの手で工事に踏み切るであろう。このとき問題となるのは,水車発電機などの電気機器で,これらはサプライヤーズクレディットで,機器メーカーそのものにファイナンスの義務を負わせるものと思われる。日本は,三峡ダムで欧米にさらわれた苦い経験があるが,これを避けるためには,これらの日本に要請があって断った水力について,予め公的資金で環境調査だけを入れておく,と言う案が考えられる。これによって,JBICの国際金融や経済省の貿易保険の迅速な決定に資することが出来ると思われる。ここまで円借款で支えてきたベトナムの電源開発を,この期に及んで欧米にさらわれるのは,何とも残念な話である。

今回の写真によるレポートは,洪水期を控えた北の紅河,ますます混雑をましたハノイの市内,久しぶりのホーチミンの発展状況,チアン貯水池,フーミー火力,ブンタウの観光地としての発展状況で,写真全50枚の大作である。


写真

これからの11枚は,既にメールに付けて送った,そのときそのときの写真です。

001 7月8日夕,ハノイ空港に到着,市内に向かい,紅河の状況
002 ハノイの市内,バイク社会で,バンコクのように大気汚染がでてきた
003 ハノイの市内,バイクの女性は,色とりどりのマスクで楽しんでいる
004 ホーチミン市内,中央のオペラ前,REXホテルの夜景
005 ホーチミンより東へ,ドンナイ川の橋梁を渡る
006 チアン貯水池よりの帰路,夕日に輝くドンナイ川
007 ホーチミンを南へ,天然ガスを焚くフーミー火力,日本の企業が活躍
008 南の突端,ブンタウ,すっかりリゾート地と化している
009 珍しく晴れたハノイの空,日航ホテルより望む
010 ハノイ市内,屈託のない笑顔でものを売る少女
011 ホーチミンの南,ブンタウの近く,「アジアの隼」の舞台,バリア発電所


7月8日,香港経由でハノイへ,洪水期の近づいた紅河の状況など。

020 7月8日午後,久しぶりの香港,空港が新しくなった
021 夕方,ハノイ空港到着,空港の外も秩序正しくなった
022 空港よりハノイ市内に向かって,水位の上がった紅河を渡る
023 ハノイ市内,ますます混雑がますバイクの群

ハノイの市内,ホーチミンの市内の状況

024 ハノイ市内,朝のバイクによる交通ラッシュ
025 北,ハノイ上流のダム計画,PECC1のトイさんが書いてくれた
026 7月11日,ホーチミンに移動,オペラザ前のレックスホテル
027 ホーチミン市内,オペラザ右正面
028 ホーチミン市内,瀟洒なレストラン街
029 7月12日午後,東を目指す,サイゴン川を渡る
030 ホーチミン東に伸びる高速道路,料金徴収所
031 ホーチミン東,ドンナイ川を渡る
032 ホーチミン東,高速道路を出て田舎道,インドネシアの雰囲気

7月12日,ホーチミンを出発して,北東のチアン方向へ走る,チアンの諸元は次の通り。

チアン貯水池は,ホーチミン市の東北約70kmの,ドンナイ川下流,流域面積にして15,400平方kmの位置に,最大高さ約70mの均一型アースフィルダムを建設し,常時満水位62m,低水位50mにて,総貯水容量27.6億トン,有効容量約25億トンを確保して,ダム直下に,100MW機4台,合計出力400MWを,最大落差62m,単機最大使用水量毎秒220トンで得るものである。ロシアの支援にて,1984年着工,1987年10月末に1号機が運転開始,1989年に全4機が完成したものである。発電以外の目的は,ドンナイ川下流の塩害を防ぐため毎秒60トンの放流を義務付けている。平均年の総流入量は約150億トンで,これに比べて有効容量約28億トンはやや少なく,完全な季節調整は不可能で,雨期の約4ヶ月はピーク調整の能力を失っている。調査当日,雨期の始まりである7月13日は,水位がかなり低下して,低水位上約1m,即ち53mで,渇水の状況である。周辺には高い山が無く,チアン貯水池を下部池とする揚水発電所のポテンシャルはない。

まず地図で位置を確かめてください
(JICAー日本工営のレポートより借用)

チアン貯水池の写真を見てください。

033 午後2時過ぎ,チアン貯水池到着,ダムの上を走る
034 同じくチアンのダムの上,右にチアン貯水池
035 チアンのダム,洪水吐ゲート部分
036 ダムの上からチアン発電所建家を見る,40万KW
037 チアン発電所の縦断面図,ダム式の典型
038 チアン発電所,発電所建家内部,発電機3台
039 チアン発電所放水口,水路を開削,この下流で本流に接続
040 チアン発電所放水口,放流口
041 チアン発電所,変電所,主変圧器3台
042 チアンの貯水池,水位が下がっている
043 チアンのダム上流面,

7月13日,ホーチミンより南へ

044 チアンよりの帰途,夕暮れのドンナイ川
045 ホーチミン郊外,大規模な遊園地
046 ホーチミンの港,遊覧船から,夕食

047 7月13日,ホーチミンから南へ向かう,フーミー発電所
048 天然ガス火力フーミー発電所,日本企業が活躍している
049 フーミー火力の南側敷地,冷却塔が見える
050 フーミー火力の建設契約を示す看板,ベトナム語
051 更に南のバリア発電所,「アジアの隼」の舞台となった
052 更に南,観光地のブンタウへ向かう
053 ブンタウ,海岸沿いに整備された道路,すっかり観光地に生まれ変わっている
054 ブンタウ,まるでヨーロッパの雰囲気
055 ブンタウ,豪華なホテルが建ち並ぶ



これからは動画です。今回はリコーのRDCー7のデジカメの動画機能を使って盛んにとって見ました。なかなか良いのだが,このカメラの録画形式がマイクロソフトのメディアプレーヤーにあっていなくて,Quick Time でしか再生できません。しばらくすみませんが,Quick Time をダウンロードして見てくれませんか,と入っても,忙しくなくてIT能力のある人しか見てくれないでしょうね。Quick Time のダウンロードは,次のサイトでお願いします。ダウンロードできたら,ファイルをそれに関連付けをしてみてくれませんか。

Quick Time の ダウンロードサイト
http://www.apple.co.jp/quicktime/download/index.html

動画ファイルは次の通りです。

100 動画,ハノイの水上人形劇,その1
101 動画,ハノイの水上人形劇,その2
102 動画,ハノイの水上人形劇,その3


JICAへ報告した最近の電力事情

最近の電力事情(2002年7月15日現在)

(1) 前回情報では,電源開発計画に基づき,全国の総設備容量は5,680MW(北2,673MW,中268MW,南2,739MW)と報告しているが,最近運転を開始した設備を入れると,現時点において,8,749MWが設備として稼働している。最近運転開始した電源は,中部のヤリ水力729MW(2002年4月),南のフーミー1天然ガス火力1,090MW(2002年),北のファライ第2石炭火力600MW(2002年),南のハムトワン水力300MW(2001年10月),ダミ水力175MW(2001年10月)などである。

(2) 設備出力8,749MWに対して,2002年6月時点の最大需要電力は,6,257MW(北2645MW,中739MW,南2,873MW)となって昨年同時期に比べて20%以上の伸びを示した。設備としての予備力は30%近くに達しているが,実際にはホアビンなどの多目的ダムの水力の有効出力が小さいので,供給力として,極めてマージナルな状態に達しており,需要抑制なども含めて厳しい計画停電が実施されていろ可能性が高い。

(3) 現在準備中の電源は,最近着工した中央高原のセサン第3水力360MWで,機器等ロシアの支援を受けることで,2006年にも運転開始予定である。北の紅河支流のナハン(旧名ダイチ)水力342MWが準備工事に着工し,2006年にも第1号機を運転開始の予定,これは洪水調節を含む多目的ダムで,ダム自体はMARDによって推進されている。南部の天然ガスを主体としたフーミーは,フーミー第1火力1,090MWが円借款の支援を受けて完成しているが,続いて,フーミー第2―1火力565MWは,EVNの手によって完成に近く,フーミー第2−2火力720MWは,EDFや東京電力などのIPPとして2004年に運転開始の見込み,フーミー第3720MWもBPと九州電力などによるIPPとして,同じく2004年にも運転開始の見込み,フーミー第4火力450MWは,EVNによって,2003年から4年にかけて,それぞれ運転開始の見込みである。

(4) そのほか,計画中または準備が進んでいるものの中で主たるものは,石炭公社のIPPによる北のナディン石炭火力100MWが2004年運転開始予定,中部のバンマイ水力300MWは,PECC1の手によってFSが進行中,2008年に運転開始予定,北のカウワ石炭火力300MWはFS実施中で,2005年運転開始の予定,ウオンビ石炭火力増設は現在詳細設計中,南のオモン重油火力600MW(300MWは円借款想定)については,将来の天然ガスへの変換を視野に入れながら,2005年から6年の運転開始を予定している。

(5) 北のソンラ水力は,出力規模を3,600MWから2,400MWに縮小して(水没約6万人か),2012年から16年にかけて運転開始することを想定している。このソンラの計画変更で,上流のライチュに800MW,下流にウエイクワ水力460MWが,新たに浮かび上がってきている。

(6) なお,フーミーなどに続く長期的な視野で,ニョンチャック天然ガス火力1,200MW,メコンデルタ先端までガスパイプラインを敷設して,カマウに720MWのCC/GTの運転開始を2005年に期待している。南部沿岸の原子力は1,000MWで2017年,揚水発電所の最初の投入は,約1,000MWを2010年に予定している。場合によっては,インドネシアなどの輸入石炭も考えているようである。50万ボルト南北連携送電線は,現在通常400MW,緊急時800MWの南北融通が可能であるが,着々と増設工事や計画が進んでおり,2010年には通常1000MWの融通が可能となるよう,準備を進めている。


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