1999年5月4日夕方成田を全日空で出発,ロスに一泊して,アメリカン航空でマイアミ経由ベネズエラの首都カラカスに入る。ここで一泊して5月6日,ALM(オランダの航空会社)のプロペラ機で北西約45分にある蘭領キュラソーでスリナム航空に乗り換え,約3時間で西のスリナムの首都パラマリボに入る,地図を見て下さい。このスリナムには,アフォバカ水力発電所があって,この国の殆どの電力をまかなっている。今回残念ながら,現地に行けなかったので,入手した簡単なパンフレットをもとに紹介したい。モバイル情報はここ,スリナムの写真などはここ
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この発電所は,首都パラマリボから南へ100kmの,スリナム川上流部に位置して,高さ54m,延長1,913mのアースフィルダムで,左岸側にコンクリート造の洪水吐を持っている。16個の副ダムがあるようである。これによって出来た貯水池は,面積が1,560平方km
(琵琶湖の2倍か)で,満水面は標高80mであるが,その他流域面積や貯水池容量は分からない。おそらく,流域面積は1万平方kmを越しているが,池の容量としては十分に年間調整を行えるものであろう。因みに,年間降雨量は2,000mmとされている。発電所はダム直下で,3万KWの水車発電機を6台備えており,合計で18万KWである。
この発電所は,アルミニュームを主体とする米国の鉱山会社SURALCOが,1960年8月に着工して,1965年7月に完成し,殆どの電力をアルミの精錬に使っているが,年間発生電力量約10億kWHのうち,8%の8千万kWHは,スリナム政府が所有することとなっており,首都パラマリボの電力需要の殆どを賄っている。
スリナム全土の電力設備の概要は次の通り
電源設備としては,パラマリボ南部,プロコボンド湖北端のアフォバカ水力発電所(189MW,1965年完成,SURALCO所有)が最大で,次いで同じくSURALCO所有でパラマリボ南部のアルミ工場に付属するパラナム火力発電所(134.5MW),更にパラマリボ市内にあるEBS所有のパラマリボディーゼル発電所(59.5MW)が主要な電源である。そのほか,各地区で主として独立して地区の需要を賄う小規模ディーゼル発電所が散在している。西から,ガイアナとの国境付近のニッケリー(6.7MW),同南のアプラ(73kW),コロニエ(395kW),ボスカンプ(82kW),ラレコ(110kW),南部のブロコポンド(80kW),パラマリボの東に,アリアンス(169kW),カナワピボ(595kW),ムンゴ(1,010kW),仏領ガイアナの国境にアルビナ(140kW),の合計10カ所合計出力9,354kWの小規模独立系統の発電所群がある。従って,大規模発電所を入れて,合計13カ所総設備出力392,354kWであり,当面は需要を安定的に賄っているものと推定される。
将来の需要想定やこれに基づく電源開発計画は,調査団が調べた限り存在しない。しかし,フィンランドの民間会社が,パラマリボに48MWのディーゼル火力発電所をIPPで計画中で,既に政府と覚書を結んでいるとの情報があるが,買電単価の問題があって,EBS自体は具体的な取り組みをしていない。