このページは,多年に亘って電源開発に携わってきた私が,各国の電源開発に対する自分の一般的な考えを発表するページと考えてください。JICAの実施する国際協力の直接のテーマーは扱えませんが,将来を睨んだ一般的な議論をして,みなさまの意見を求める,そうしてこれを将来の日本のより効率的な国際協力に活かす,これがこのページのテーマーです。時宜にあったテーマーを選んで,みなさまと議論して行けたらと考えています。
項目
Phnon Penh,Sihanoukville,Kirirom,Kamchay の位置関係
1992年,和平回復当時のプノンペンとは様変わりした。その最たるものは電力で,当時僅かに2万KW程度しか稼働していなかった発電所は,日本の無償を含めた各国機関の協力で9万KWまで回復している。更に今後計画中のIPP計画が順調に進めば,少なくとも来世紀のはじめまでは,高価な電力ではあるが,経済成長に対応して行くだろう。問題は2005年以降で,更にプノンペンに発電所を増やして行くことには基本的な問題が生じてくる。それはメコン川を遡上して供給されている燃料の輸送である。
今後将来に亘って火力発電所を主体に電源開発を行うとしても,唯一の港であるシハヌークビルに電源を置かねばならないであろう。そうなると,シハヌークビルからプノンペンまで200km程度の高圧送電線(22万ボルトか)の建設が必要となる。また,将来の電源を火力だけで賄うことは困難で,最低でも30%程度の調整力としての水力が必要となる。
この送電線の経過地は山岳地帯で,中規模水力の包蔵に恵まれており,キリロムやカムチャイの水力が格好の立地条件下にある。水力は計画から運転開始まで調査を含めて多くの日月を必要とし,現在進められているIPP計画が果たして期待通りに軌道に乗るかどうか,注目する必要がある。
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ラオス国内で先行している水力IPP計画の位置
Nam Ngum は1970年代の公的資金
アジアを中心に,伸び続けるインフラ建設のための資金不足を補うことも一つの要請として,電力の民営化から更に発展して民間資金による開発活性化を目指して,IPP(Independent
Power Producer) のシステムが各所で動き始めている。特に最近水力をもこの枠組みに入れる地域が増えてきている。最も好例が,バンコクの電力需要を見込んだラオスの動きである。しかし,これらの計画がすべて円滑に進んでいるとは言い難い。IPPの仕組みやラオス,カンボディア,インドネシアに於ける水力IPP計画の現状の説明は,それぞれの文献に譲るとして,ここでは私から見た経緯と問題点を洗ってみる。
ラオスのIPPについては,メコン委員会派遣当時から,つぶさにその動きを見てきた。域内で並外れて経済性の良いラオスの
Nam Theun 第2計画は,1989年頃からUNDPの公的資金を使って可能性調査が始められた。この調査の国際入札には,日本工営と豪の
Snowy Mountain(SMEC) が争ったが,結局,SMECがこれを勝ち取りFS調査を行った。いつも思うのは,このとき日本工営が勝っていれば,IPPの展開はどのように変わってきただろうか,ということである。というのは,FSが完了に近づいてきた1992年頃に,UNDPは資金不足に陥り,詳細設計の初期段階に必要な現地調査費約5百万ドルの支出が不可能となったのである。あわてたラオス政府は,UNDPの実施機関としてSMECを監理した世界銀行とともに,関係協力国や機関をビエンチャンのランサンホテルに招き,FS調査の内容を説明すると同時に,今後の調査費に関する協力を求めた。私もこの会議にメコン事務局の一員として出席し,SMECの環境調査の内容が工事費積算に反映されていない点を突いたことを覚えている。しかし,この会議では関係国の支援のプレッジが得られず,ラオス政府は資金面で追いつめられた。日本政府がこのとき協力できなかった事情はいろいろあるが,SMECを中心に先方が全面的に日本に頼ることを欲しなかったことが考えられる。事実,5百万ドルのうち正式に日本に対して測量支援のみが要請されたが,コンサルタントがSMEC
であること(JICAの場合は制度上日本国籍のコンサルタントである必要がある)と計画の極一部を引き受けても全体的に技術的な責任が持てない,との理由(私の推測)で,これを受け入れるに至らなかった。
ラオス政府はこの時点でなお,全体工事のために日本の円借款を期待していた節があるが,ラオスのためでない電力インフラ整備のために,ラオス政府に借款が生ずる矛盾を克服することは,日本としては困難であっただろう。
この時点でラオス政府は,民間資金に頼るより他に方法なしと判断したのである。1992年の半ば,ラオスのカモン副大臣は,バンコクのホテルで開催されたセミナーで,ラオスの水力を民間開発の手にゆだねることに決定したと発表し,劇的なIPPへの方針転換への舵を取ったのである。同時期に,経済成長に電源がついて行けないタイ政府は,開発された電力は買い取るとの正式な意志表示をしている。ここに,ラオスの水力のIPP方式による素地が整ったことになる。
そこで真っ先に動いたのは Nam Theun 2 をIPPの対象としたSMECであり,豪のトランスフィールド社を口説き落として最初のIPPとしてのラオス政府の同意を取り付けたのである。その後,Nam
Theun の他,中規模ではあるが経済性の良い南部のボロベン高原付近の諸地点や,ナムグム上流の開発,Nam
Theun 下流の分水計画(Nam Theun Hin Boun) と次々にIPPの申し込みが続き,政府は同意書を連発した。
この時点で我々がこの方式について疑問を呈した点は2点有り,第一は,あまりに弱小資本が入ってくるので完成までの資金目途を立てずに調査のために森林資源が伐採されるのではないか,第二に,このIPP計画はラオス政府にとってどのようなメリットがあるのか,ということであった。第一の点についてラオス政府は機敏に動き,開発に伴って伐採される木材資源はすべてラオス政府のものとすることで対応した。問題は第二の点である。
民間資金によって開発されタイに売電された場合,その便益はすべて資金を出した民間資本が享受することとなる。当初の時点ではラオス政府は,水力開発に伴う経済的な波及効果のみを期待していたようである。しかし現実に水力の波及効果があるかどうかは,日本の北陸などの例を見ても分かるとおり,殆ど地元には経済効果を及ぼさない。この時点で我々がラオスに示唆したのは,民間開発に伴う法制度の整備であった。日本の場合,電源地元への利益還元は,固定資産税,水利使用料,電源三法に基づく電力会社の分担金をベースにした利益還元等であって,すべて法制度がなければ得ることは出来ない便益である。しかしラオス政府は別の方策を打ち出した。それは,IPPに対してラオス政府が30%のシェアーを持つことであった。恐らく,法整備を行って税金等を取り上げることが,民間資金の開発への意欲を殺ぐと考えたのであろう。
そこでこのラオス政府が持つべき equity 30%が一つの問題を生んだ,数億ドルのこの資金をラオス政府はどのように調達するのか,ということである。政府の持ち分なので出来れば公的資金を,と考えたのは当然である。公的資金が大規模開発に対する環境破壊を如何に気にするかは,中国の三峡ダムの例に代表される。中国はこの世紀のプロジェクトに対する公的資金による協力を一切入れず,すべて民間資金で賄う方針で今日に至っている。世界銀行がこのラオスの意図に促され,ラオス政府持ち分を融資することとし,そのために環境ミッションを現地に派遣した,その報告書には環境調査の不足を指摘し,融資をサスペンドした。そこでNGO等からの批判に悩んでいたトランスフィールド等の民間資金側は,ラオス政府の持ち分が確定しないならば,民間資金も手を引くと通告したのである。これでラオス政府は一挙に守勢に立たされることとなる。
政府が持ち分を要求したために,更に重要な問題が生じたと私は考えている。それは,本来民間開発の環境上の規制監督を行うべき政府が,自分が開発側に立ってしまったということである。今後整備して行くべき法制度が,すべて自分を縛るものであり,積極的な環境行政を展開できなくなってしまったわけである。日本で言えば,資源エネルギー庁が自ら電源の開発に乗り出すことになったわけである。勿論政府の機能は分散されており,農林省のプロジェクトを河川行政の立場から建設省が監督する,と言うことがあっても良いわけだが,ラオス政府のような小さな組織では,政府一丸となって開発に取り組まざるを得ないのが実情である。更にタイとの売電交渉までも政府自ら乗り出さなければならなくなり,何のためにIPPに踏み切ったか分からなくなってしまった。今後この問題がどのように進捗するか,注意深く見守りたいと思っている。私は,ラオス政府が持ち分を要求したのは,IPPの趣旨から言って間違ったのではないかと思っている。
もう一つ付け加えると,民間側は何を指標にしてIPPを提案してくるかということである。本来水力は,大きなマスタープランがあって,それから更に開発地点を絞り込んで行くという過程が必要なのである。メコン流域の調査には古い歴史があって,既に十分に絞り込まれた地点がIPPに出されている,と考えるのは早計で,実は手当たり次第に政府が地点を示唆し,手当たり次第に民間資金側が飛びついている,というのが実情である。何らかの公的資金による開発調査が,IPPの前提として必要ではなかろうか。
誰も問題にしないけれど,Nam Theun 2 の下流でIPPを進めているADBとスウェーデンは,上流に分水計画があることを一向に気にしていない。Nam
Theun 2は どうせ出来ないからと考えているのか,もし上流分水計画が具体化すれば,そこから減電補償をとるつもりでいるのか。分水しても残流で十分発電可能と言うエンジニアーがいるが,私の計算によると,今の下流計画の21万KWはあまりに過大であり,それに上流の分水計画が実現すれば,とんでもない投資をしたことになるのである。この例は,誰かがこの川の一貫開発計画を作成しなければならないと言うことで,上流と下流で別々のIPPが進行したのでは,大変間違った計画となってしまうのである。さてどうするか!?
ボルタ川開発の歴史を振り返ってみる。(VRAのパンフレットより)
1915年に,Kwahu 高原にボーキサイトが発見されたのが開発の契機で,南アフリカのエンジニアー,Duncan
Rose が,アルミニュームの生産を目的として,ボルタ川から電力を得るための調査を開始したのが,ボルタ川開発の始まりである。
当時 Gold Coast に首都を置いていた植民地政府が,当時の世界のアルミニウムの不足を考えて,この考え方に興味を示し,調査を
Sir William Halcrow and Partners 社に委託した。同社は,ダムサイトとして
Ajena の峡谷が最適であり,Kpong にアルミ工場を建設するほか,Tema の港の建設が必要であることを提言した。しかしこの報告書は,1952年に建設に向けての準備委員会が発足するまでは動き出さなかった。
Robet Jackson に率いられた準備委員会は,1956年に調査を完了して,Ajena
にダムを建設してアルミを生産する計画は極めて有効とし,報告書を提出したが,丁度このころ世界のアルミ供給が過剰となり,一時計画の推進を中止していた。
1958年に至って,初代ガーナ政府の首相となった Dr.Kwame Nkrumah は,英本国政府の了解を取り付けた後,米国を訪問,当時のアイゼンハワー大統領に直接支援を頼んだ。大統領はこれを支援することを決意し,建設費の半分を供与する前提で,エンジニアーとして
Kaiser Engineer 社を指名した。
Kaiser は早速調査に乗り出し,当初の案の Ajena のダムサイトを現在の Akosombo
に移し,アルミ工場も Kpong ではなく港の位置にある Tema とすることを提案した。更に,アルミ生産のための民間会社を設立することとし,現在の
VALCO が設立された。
1960年,土木工事のテンダーが開始され,イタリーとの合弁会社である Impregiro
がこれを請け工事に着手した。この間,ガーナ政府は世界銀行や他の西欧諸国のとの資金援助に関するネゴに成功し,本格的な工事の段階に達したわけである。
工事が始まって VRA(Volta River Authority)が設立され,カナダのオンタリオ水力の著名なエンジニア
Frank Dobson が就任し,これ以降カナダのエンジニアーたちがこのプロジェクトに協力する態勢となった。工事が終盤に近づいた1966年頃,Tema
のアルミ工場の建設が開始された。
1966年に発電開始された6機(単機147MW)の発電機に続いて,1972年には更に2機(単機162MW)が運転開始し,合計設備出力は1,206MWに達した。
1975年には,更に下流の Kpong 計画が調査を開始され,1981年,Kpong
発電所として4機合計160MWが運転開始した。これでボルタ川の総出力は1,362MWとなった。
ガーナ全体図 黒く塗られているのがボルタ貯水池 ,クリックしてください。左が南
ボルタ湖は,湖の表面積で世界最大であり,琵琶湖の約11倍の8,502平方km,長さは最大で400kmに達し,その総貯水容量は1470億トンである。
水没移住は,738村落,合計8万人に達した。
ダムは,センターコア型のロックフィルダムで,高さ141m,ダムの体積は約8百万立方mである。
なお電力は,西のアビジャンと東にトーゴーに輸出されている。
写真
アコソンボダムの堤頂より上流の貯水池を望む,湖の長さは400kmである。
ダム頂上左岸より右岸の発電所を望む。8機のペンストックが望まれる。合計1206MW
下流の Kpong ダム,洪水吐部分。発電所出力は160MW。
下流の Kpong ダム,ダム右岸より貯水池を望む。7000人が水没した。
今年(1997)3月10日,カンボディアのプノンペンにいるときに,Associated
Press の第一報をキャッチした。
それは,幅20cmの亀裂がダムのコンクリートに発見されて,更に周辺で地滑りが起こっている,というもので,ボバンキエット首相自ら調査団の人選を行って,調査団が現地に飛んだ,というものである。
この報道は,我々ダムを知る者にとっては少なからずの衝撃であった。私自身はこのダムを見ていないが,友人の話によると,発電所全体の仕上げが極めて劣悪で,何らかの補修の対策が必要ではないか,と言われていたこと,またこのダムに事故が発生したときの影響の大きさ(それはダムの崩壊を意味するのではなく,水位を下げなければならないことによる発電への影響をも含めて),更にベトナム政府がその上流で計画しているソンラ発電所計画(約200万KW)への深刻な影響,等々が頭に浮かんだからである。
ホアビン計画は,まだベトナムが西側に門戸を閉ざしていた1971年に調査が始まり,旧ソ連の全面的な支援を受けて,1979年に工事を開始し,1989年に一部運転開始し,最終的には西側の制裁が解除されて以降1994年に完成したもので,設備出力約200万KWの東南アジア最大の発電所である。
ダムの位置は,Black River (紅河)の中流で,ハノイの西75kmに位置し,流域面積約26,000平方kmの地点に,高さ約100mのダムを建設し,総貯水容量95億トンの貯水池で調整された水で,最大毎秒2400トンの使用水量で,ダム直下に設けられた地下発電所で,最大出力200万KWの発電を行い,年間約11,000GWhの電力を得るもので,至近年に於けるベトナムの重要な電源となっている。
私が問題にしたいのは,この第一報以降全く報道がなされていないことで,ベトナム政府の報道管制が布かれた可能性があることである。社会的政治的に大きな問題を含んでいるので,ベトナム政府が調査完了後適切な発表を行うことを期待しているが,今後政府が目指している上流の開発計画にも大きな影響を与えるものと思われる。
何らかの情報があれば教えてください。(<hayao@adachi.net>)
本欄末尾に,計画の位置図とダムの写真のコピーを付けています。
RIAP は Research Institute for Asia and Pacific
TERRA の文献提供に感謝します。
1997年6月9日付けロイター電の伝えるところによると,今週月曜日,ベトナム北部の電力が最低線まで落ち込んだとのこと。これはホアビンダムの水位が,異常な渇水のために急激に落ち込んだためと説明している。ダムの事故の問題には触れていないが,私の推測するところ,何れにせよ一時ホアビンのダムの水位が下げられたに違いない。その影響がこの電力危機を招いたのか,或いは,もう少しうがった見方をすれば,どうしても水位が上げられず,パニックを避けるため渇水と説明した可能性がある。
1997年6月11日付けロイター電の伝えるところによると,遂に電力公社が電力危機の警告を行った。それによると,まだ余裕があるという言い方で伝えているが,ホアビンの池が発電可能水位まで僅かに1.3mであると報じている。3月の事故の報道以来初めて池の水位に関する情報であるが,今回の警告では事故のことには触れておらず,あくまで渇水の影響としている。更に電力の緊急の新設の必要を主張しており,2010年の原発運開の問題まで持たない,としている。この報道が果たして事故と関係があるのかよく分からないが,事故当時水位を下げたことは想像でき,問題は今後雨さえ降れば水位が回復可能なのかどうか,大きな関心を持って見守る必要がある。
Associated Press HANOI, VIETNAM - AP World News via Individual Inc. :
Cracks measuring as wide as 20 centimeters (8 inches) have been found in
the biggest power dam in northern Vietnam, a local official said Friday.
[03-08-97 at 13:01 EST, Copyright 1997, The Associated Press]
Copyright 1997 Reuters Ltd. All rights reserved. The following news report
may not be republished or redistributed, in whole or in part, without the
prior written consent of Reuters Ltd.
HANOI, June 9 (Reuter) - Electricity supplies in northern Vietnam have
dropped to critical levels and power cuts are likely to become more widespread
if rain does not feed the reservoirs of hydropower plants soon, an official
said on Monday. Bui Thuc Khiet, deputy general director of Electricity
of Vietnam (EVN), told Reuters that a high voltage transmission line which
normally supplies the south of the country from the north was operating
in reverse for the first time. He said the reservoirs feeding the Hoa Binh
and Thac Ba plants had fallen to "dead" levels because of unusually
hot and dry weather in the north since mid-May, which meant that supply
would fail to meet record demand.
Supplies of electricity to some remote areas were cut at the end of last
week, although Khiet said EVN was working to prevent power cuts in towns
and cities. He said Hoa Binh, the country's biggest plant, could operate
effectively for another five or 10 days if there was no rain. Weather forecasters
said showers were expected in the north of the country later on Monday,
although they said heavy rains were unlikely before June 20. EVN is planning
to produce some 19.7 billion kilowatt hours (kwh) of power this year and
is aiming for capacity between 26 and 29 billion kwh by 2000. It intends
to continue capacity building after that to meet growing consumption needs,
which experts believe could top 60 billion kwh in less than a decade from
now.
REUTER
Copyright 1997 Reuters Ltd. All rights reserved. The following news report
may not be republished or redistributed, in whole or in part, without the
prior written consent of Reuters Ltd.
HANOI, June 11 (Reuter) - Vietnam's state electricity monopoly said on
Wednesday that widespread power outages would hit the country within weeks
unless water levels in hydro-power dams increased. A senior Electricity
of Vietnam (EVN) official told Reuters that while sufficient capacity remained
to supply electricity to Hanoi and Ho Chi Minh City for the time being,
the situation could become critical by July.
"Hanoi and Ho Chi Minh City will continue to get power supplies in
June as they are priority areas," he said. "But if water supplies
are still not available in July, power cuts will be necessary." The
official said EVN was using diesel generators and other machinery to maintain
supplies to most areas of the country.
But a manager at northern Vietnam's Hoa Binh hydro-electric dam complex
said on Wednesday the plant was no longer able to operate at capacity.
He added that water in the reservoir was just 1.3 metres above the level
at which turbines would stop.
Northern Vietnam has experienced an unusually dry period in recent months
and summer rains, which usually begin in May, have still not arrived. Supplies
of electricity to some remote areas were cut last week, when temperatures
of around 40 degrees Celsius (104 Fahrenheit) to a surge in demand in northern
cities.
The EVN officials said the company planned to cut power to rural areas
first before throwing the switch off in cities. He added that the situation
was likely to impact non-vital industry. Power outages in Vietnam have
been common for many years, due chiefly to poor energy infrastructure and
increased demands placed on the system by a booming economy. Two main hydro-electric
plants provide the electricity for most of northern Vietnam, which in normal
years feeds additional supplies to the energy-hungry south.
The government says it is aiming to establish a nuclear power industry,
but the first plants are not expected to be operating before 2010.
REUTER
Hoa Binh 全体計画図 RIAP 文献より , クリックしてください
Hoa Binh ダム全景, RIAP文献より,クリックしてください。
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パキスタンの水問題については,アジア経済研究所の小林英治氏が1979年に書かれた「インダス河の開発」という極めて丁寧な参考書(アジア経済出版会)がある。私が丁度インドネシアのチラタプロジェクトをやっていた頃,このタルベラダムの話がよく出た。良いに付け悪いに付け,我々ダム技術者にとっては,一度は是非見たい世界有数のダムプロジェクトであった。このたび(1996年3月),パキスタンを訪ねたときに,時間を見つけて一日このダムを見てきた。小林さんの書物を参考にさせていただいて,このタルベラダムにまつわるインダス河の水争いの歴史と,果敢に挑戦した土木技術者の足跡を追ってみる。
インダス河の水争いには,インドとパキスタンの分割に伴う長い話があるが,これは前記小林さんの書物をひもといていただきたい。1947年に両国に分割されたときに,インダス平野の総灌漑面積は946万ヘクタールで,そのうち84%に当たる791万ヘクタールがパキスタンに帰属したが,1947年のインダス河の年量895億トンのうち,パキスタンが793億トンを使うこととなった。ところがインドでこの水に依存する人口は,パキスタンの2500万人に対し,2100万人で,これがインド側に深刻な食糧問題を引き起こすことになった。インドは上流で運河への送水を止めてパキスタン側に深刻な水問題を引き起こす。両国の交渉で,暫定的にインド側は下流に必要な水を流すが,運河を運営するための経費をパキスタン側からインドへ支払う,という協定が,1948年に成立している。
インド側は,1961年にバクラダム(78億トン)を完成して一挙にその主導権を握ろうとしたが,パキスタンはマングラダムの建設に着手した。この争いを憂慮した世銀のブラック総裁は仲介に乗り出したが,紆余曲折の末,1960年カラチに於いて当時のネール首相とアユブカーン大統領の間で,インダス水利条約(
Indus Waters Treaty) が締結され,将来10年間に必要な水利事業のための費用約13億ドルが,アメリカ,世銀をはじめとする欧米諸国が拠出することとなった。この辺の事情は,小林さんの書物に極めて詳しく書かれている。
この13億の費用は,パキスタン側としては,マングラ及びタルベラダムの建設を含むものであった。その一つ,マングラダム(72億トン)は,1962年に着工し,8万人の水没移住及び,10万KWユニット10台の発電所の建設を含め,1967年に完成している。
世銀は,当時5億5000万ドルと見積もられたタルベラダムの着工に難色を示したが,強硬なパキスタンの主張におれて,1964年ついに3億1000万ドルの融資と関係協力国への斡旋を決めた協定に署名した。このときの世銀調査団のリーフティンク博士の報告書は,パキスタンの水問題を掘り下げた報告書として高く評価されており,タルベラの着工を決断したものである。
アメリカのタムズ社がコンサルタントとなり,1968年5月,ダム建設の業者(イタリアはじめ国際的なジョイントベンチャー)が決定し,8万5000人の水没を含む空前の大土木工事が始まった。(土木請負約6億ドル,補償費約4億ドル,総計12億ドルと推定されている。)
土木工事が完成し湛水を開始したのは,1974年7月である。順調に湛水していった7月中旬,右岸の4つのバイパスをテストするため通水試験が行われたが,7月27日,その第2トンネルに以上が起こった。これがパキスタン全土をパニックに陥れた事故の始まりである。この間の経緯は前述小林さんの著書の78ページ以下に記されている通り,8月21日の「魔の日」を迎えるわけである。このとき貯水池は既に99億トンの水を湛え,満水まで僅かに余すところ37億トンであった。8月22日,専門家グループの決断で,全水門を開いて湛水した水を放流することとし,貯水池が空になるまで3週間を要したが,この間下流住民にはダム決壊のデマが流れ,ブット首相自ら国民に訴えた場面もあった。
水を抜いてみると,予想を超える大事故で,第2トンネルの取水口から70mに亘って落盤し,約50万立方mの土砂が下流に流れ出したのである。1974年9月27日から10月4日まで現地で世界の権威を集めて善後策が協議され,修復方法が論じられたが,この会議にはブット首相を始め各大臣が出席した。
この修復に要する費用は5900万ドルと見積もられ,世銀を始め関係各国が負担した。1975年5月,再び湛水を開始し,8月7日にはもとの水位に復した。1976年完成のタルベラダムの諸元は,次の通りである。
タルベラダム位置図,インダスがカブール川と分かれて東流し,更に北上した地点,クリックして!
右岸ダム本体と左岸洪水吐けの中間に位置する山塊を,下流右岸より望む
6. 電力マーケットが未熟なところでIPPは適切か,プノンペンを例にとって
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プノンペンのIPPによるディーゼル発電所 35MW,内部撮影許可されず
カンボディアの電力民営化は,いろいろな問題を投げかけている。
プノンペンは,和平復帰後の惨憺たる状態から,かなりの程度まで復旧している。これは国際社会が協力してその電源設備復旧に努力した成果である。即ち,戦前約9万KWあったディーゼルを中心とした電源設備は,ソ連の崩壊による部品の不足等から,戦後(1992年)には僅かに2万KWが動いているのみで,ホテル等は殆ど自家用の発電機を主体にしてきた。しかし,日本やアジア開発銀行を中心とした公的資金の協力で,今では9万KWまで回復している。この中で大きな役割を果たしたのが,マレーシア企業のIPPによる約3万KWのディーゼル機であった。
今後の電力需給の見通しについては,少なくとも2000年までは,現在進行中のIPP契約によって賄われるものと考えられているが,これらはすべてディーゼルである。しかし,それ以降の電源については全く見通しがついていなくて,唯一,南西部の山岳地帯に位置するカムチャイ水力10万KWが期待されているが,これもカナダの民間資本によって進められるIPP計画である。
このように,今後のカンボディアの電力開発は大きく民間開発に頼ることになるが,これはタイやインドネシアで始まったIPPによる開発方式が,まだ電力市場の発展途上にあるカンボディアにまでも押し寄せてきた結果である。民間資本が押し寄せてきたために,公的資金による開発協力は不可能になる,と言うよりは必要がないと言うことであろう。しかし,カンボディアのような市場が未発達のところでのIPPには問題が生ずる。
第一は電気料金の問題である。ディーゼルを主体にしたIPP側は,14セント/KWhからのネゴには応じようとしない。この結果送配電経費を考慮した販売料金は30セント/KWh以上となってしまう。これは,ディーゼルに頼らざるを得ない現状から来るものであると同時に,無償協力も含む低金利の公的資金が使えないところにもある。この電気料金は,電力市場の成熟した国では何とか一般需要にも耐えれるが,カンボディアでは無理で,ホテル等の商業用の需要に回って,一般民家へは難しいことになる。カンボディアのように経済発展はこれからという国には,民間資金に頼ることには無理があるのではないか。
第二に,公的資金が入れないことによってIPP側に交渉の決め手を残してしまい,IPP側の恣意が全面に出てしまうことである。アンコールワットを有する北のシアムリアップ市は,日本,ADBなどによって電源の復旧が計画されたことがあるが,カンボディア政府はマレーシアのYTL社のIPP計画を受け入れることとしたため,公的資金が一斉に手を引くことになった。そこでYTL社は,電源のみでなくアンコールワットに関する観光事業一切の権利を取得することを申し入れた。これはカンボディア政府の受け入れることの出来ないところであり,IPP計画は頓挫している。
第三に,電源開発の今後の展開であるが,プノンペンの電源増強には制約がある,それはメコン川を遡ってプノンペン港までの燃料輸送容量である。現在の9万KWに対して更に新規の6万KWがIPPで計画されているが,合計15万KWの燃料輸送が限界と言われている。今後経済発展に従って電源を増強するためには,南西部のカンボディア唯一の海港であるシハヌークビルに中規模の火力を建設せざるを得ない。このときプノンペンまでは200KM以上の距離があるが,送電系統網は全く存在しない。送電網の建設は一体誰がやるのか,カンボディア政府は送配電はすべて電力公社が行うこととしているので,この資金調達の問題がある。
第四に,プノンペンとシハヌークビルの中間の山岳地帯に位置する有力な水力電源包蔵を,どのように開発するか,の問題である。公的資金による開発が何度も障害となって,結局カンボディア政府は,資金的には安易なIPPに頼ろうとしている。それは,当初オーストリア政府のキリロムの挫折があり,現在IPPの募集を行っているが,既設のダムの上に発電所を復旧するもので,既設分を政府の持ち分として新設分をIPPとする,という手法に無理がないか。更に,10万KWのカムチャイはカナダのオンタリオ水力のIPPによるプレFSが終了して,IPP側は山元で8セント/KWhを提案してきたが,これが政府の受け入れるところとなっていない。
この四つの問題点には,カンボディア固有の困難があるのであるが,これほどIPPが円滑に行かない理由の大半は,電力マーケットが十分に育っていないところに,急激にIPPを持ち込まざるを得なかったことに起因していると考えられ,更には体系的に電源開発を主導する公的資金がなかったことが問題を複雑にしている。
6月15日,ビエンチャンでIPPのナムトウン2(600MW)計画に関する
Workshop が開かれ,カモン産業大臣(カモンさんは大臣になったのかな?)が,ASEANに加盟することとなり関税の問題から,売電による政府の収入が減ることになるとの懸念が示された。この会議には世銀のスタッフも参加しており,今問題となっている環境問題について,世銀は5人の専門家によるパネルを設置して,ラオス政府の調査結果を検討し,世銀がこれを支援するかどうか決定するとしている。問題は,「環境アセスとその運用計画」,「移住のためのアクションプラン」,「電力セクターの代替計画」,「流域保全計画」,「経済財政分析」等としている。前途多難の感有り。
Date: Mon, 16 Jun 1997 13:28:07 -0700 (PDT) From: owner-irn-mekong@igc.org
To: "undisclosed-recipients:;"@ms3.niftyserve.or.jp
>>Report by Kamol Sukin and Puangthong Rungsawasdisab >>
>>Vientiane - Laos yesterday said revenue from its controversial
Nam Theun 2 (NT2) dam project would make up for revenue losses caused by
lowered tariffs expected after it joins the Association of Southeast Asian
Nations (Asean), probably before the end of this year. "If Laos is
granted Asean membership this year, it has to reduce tariffs on imported
goods. That means Laos will lose a large amount of foreign income, so we
must look for a new source of revenue and in this respect the Nam Theun
2 project is very important to Laos," said Minister of Industry and
Handicrafts Khammone Phonekeo, speaking during a national workshop yesterday.
>>The proposed dam project, which has raised debate worldwide over
its environmental and social impacts, is expected to generate as much as
US$250 million (Bt6.5 billion) per year in foreign exchange for Laos, higher
than the country's total revenue of 1994 plus grants. The NT2 dam will
generate 3,000 megawatts of electricity per year, with Thailand the major
purchaser. Laos has so far spent about $5 million to hire specialists to
conduct environmental and socio-economic studies and public consultations.
Khammone said the government is not certain where it will find the money
to pay for the studies and consultations if the project is not approved,
adding that part, but not enough, of the money would be made up from a
loan from the International Development Agency, a lending arm of the World
Bank.
>>If Laos is admitted to Asean this year, the government will be
required to bring tariffs down to between zero and five percent, which
would pose a problem for national revenues. Between 1994 and 1995 tariff
revenues accounted for more than 20 per cent of the total national income.
>>Laos, Burma and Cambodia are hoping to be granted Asean membership
simultaneously this year. Asean members are all required to reduce their
tariff and non-tariff barriers imposed on agricultural and manufactured
products under the ambitious Asean Free Trade Area (Afta) trade liberalisation
scheme. "Nam Theun 2 is a high priority for the Laotian government.
We have put in a big effort, done everything to comply with World Bank
guidelines and they have followed our activities closely," Khammone
said.
>>Meanwhile, the World Bank also agreed that natural resources are
the biiggest revenue source for Laos, one of the poorest countries in the
world. "From the World Bank's point of view, hydropower projects have
the most potential for generating foreign exchange for Laos," a World
Bank representative who declined to be named said.
>>NT2 is included in the Laos national development plan, which runs
through to 2000. Income from NT2 would be allocated to many sectors such
as education, health and transportation. Meanwhile, the World Bank yesterday
announced the establishment of a five-member International Advisory Group
(IAG) to help it assess environmental and social impact studies related
to the NT2 project, a statement from the bank said. The measures is aimed
at helping the project meet environment standards which are vital to whether
the World Bank will approve a "risk guarantee" to the project,
as requested by the Laotian government.
>>The statement was released on the second day of the NT2 workshop,
which was also attended by three representatives from the Bank. According
to the statement, the bank also requires that the study on environmental
and social impacts, including dam safety, be reviewed by an independent
panel of experts after the workshop is completed. The IAG work will start
after the review by the expert panel, it said. "The bank will not
make a decision on whether to support this proposed project until all these
processes are completed," the bank said. "We [the bank] will
invite five internationally recognised experts to form the IAG. All five
experts are expected to be very senior and individually recognised in the
world," said one of the bank officials who attended the consultation
workshop.
>>On bank representative said there would be a special speech today
to announce the exact role the bank will take. The speech was not scheduled
in the workshop's programme. The World Bank was asked by the Laotian government
to provide support for NT2 and had requested the government to conduct
five related studies. Two studies were jointly conducted by the project's
developers and the government and included an Environmental Assessment
and Management Plan and a Resettlement Action Plan. Another three studies
are the responsibility of the government and >nclude a study of alternative
power-sector development and an environmental and social action plan for
the Nakai-Nam Theun catchment area (the area affected by the dam) and its
corridor extensions. Another study will look at the economic and financial
impacts of the project.
>>[Description of Source: The Nation--daily newspaper widely read
by the >>Thai elite] >>THIS ARTICLE MAY CONTAIN COPYRIGHTED
MATERIAL. >>COPYING AND DISSEMINATION IS PROHIBITED WITHOUT >>PERMISSION
OF THE COPYRIGHT OWNERS. >> >> >> >>Australia Vietnam
Science-Technology Link >>Title: Laos: Dam Project Expected To Stem
Flow of Lost Revenue >> >>http://coombs.anu.edu.au/~vern/avsl-list.html
>> >> >Claire Cummings >Attorney at Law >P.O. Box
5124 >Mill Valley, California 94942 >US Phone: 415-491-1948 >US
Fax: 415-491-1240 > Content-Type: text/plain; charset="us-ascii"
Date: Mon, 16 Jun 1997 13:17:31 -0800 From: patrick@irn.org (Patrick McCully)
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