こんなダムもある・アホバカ・ダムの評価


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 JICA専門員の足立隼夫氏のホームページによると、スリナムのAFOBAKAダム・発電所の概要は以下の通りである。

AFOBAKA DAM
H = 54 m   L = 1,913 m Volume = 8,000,000 m3
淡水面積 = 1,560 Km2    貯水量 =     流域面積 ≧ 10,000 Km2
H.W.L = 80 m 年降雨量 = 2,000 mm

発電所諸元
出力  = 180,000 Kw = 3 units @ 60,000
  電力量 = 10 億KWH (アルミ精錬、8%は一般供給)
発電所所有者  :SURALCO(スリナム・アルミニューム会社)
完成 : 1960〜1965年

 スリナムは南米赤道近くで、ギアナ高地で名高いギアナが、ガイアナ(元英領)、
スリナム(元蘭領)、仏領ギアナの三つに分かれ独立した。
 面積163,000 Km2 、人口432,000人(1996)である。サバンナと密林で地表近
くに質のよいボーキサイトを産する。ボーキサイトをそのままで輸出しているが、
資料によると年間3〜4万トンのアルミ地金を輸出している。
アルミニュームの精錬は、負荷率90%以上の電力が必要で、電力量原単位は
17,000KWH/t である。 4万トンのアルミ地金を精錬するために必要な電力量は約
7億KWHであるから、AFOBAKA発電所の発電量に匹敵する。発電所の設備利用率は
約63% であるが、渇水年や機器のO$Mのことを考えると、適正な規模と考えられる。

 問題はダムの湛水面積である。1,560 Km2 と琵琶湖の二倍以上の広さであ
る。貯水池面積当たりの発生電力量は0.64 KWH/m2/yとなる。普通のダム式発電
所の場合、この値は50〜100程度と思われる。ソーラ発電の場合でも同じような
値であろう。AFOBAKA発電所の建設費はおそらく2億US$以下と推定され、年経費
率を10%とすれば、電力コストは2 ¢/KWHとなる。アルミ地金の精錬費は、電力
が340 US$/t、精錬施設コストを加えても、1,000 US$/t 以下と考えられる。
(現在の市場価格約1,600 US$/t)

 スリナム人口密度は2.65 人/Km2 で我が国の1/100以下である。したがって、
サバンナなら貯水池にしても土地の生産性から考えて経済的と考えたかも知れな
い。しかし、地下に資源が眠っているかも知れない。
その辺りをどう考えたのか,知りたいものである。

 大きな貯水池は森林を水没させ、植物の炭酸同化作用を消滅させる。地球の温
暖化を考えると環境破壊であると批判されている。サバンナのCO2 の吸収量は分
からないが、仮に平均の森林並(6tC/ha)と考えると年間で93万6千トンの炭素固
定化ができなくなる。そのかわり、10億KWHの発電ができる。これを火力で発電
すると、0.2 tC/1,000KWHの炭素が発生し、20万トンとなる。
(サバンナの炭素吸収量を1/5とすればだいたい等しくなる)

 ちなみに、一般のダム式水力発電所の貯水池がすべて森林とし、炭酸ガスの吸
収ができなくなる量と、一方、火力を代替えと考え、炭酸ガスの発生を減少させ
る比率を計算すると次のようになる。
 
    水没する森林と水力発電による炭酸ガス削減効果の比

ダム名  �@集水面積Km2 �A湛水面積ha  �B発生電力量MWH 
佐久間 3,821.0 715 1,344,000
田子倉 702.3 995 594,000
奥只見 425.6 1,150 613,000
黒部 184.5 349 805,000
御母衣 395.0 880 579,000
三峡 1,000,000.0 108,400 84,680,000

ダム名 �C水没森林推定炭素量tC �D水力の抑制炭素量tC �E比率=�D/�C

佐久間 4,290 268,800 63
田子倉 5,970 118,800 20
奥只見 6,900 122,600 18
黒部 2,094 161,000 77
御母衣 5,280 115,800 22
三峡 650,400 16,936,000 26

注) �C = �A×6tC/ha ; �D = �B×0.2tC/1,000kWh

 これは代表的な例であるが、一般的にいって、水力による炭酸ガス削減効果は
非常に大きい。これは水力を造らなければ火力が必要という仮定によっている。
(原子力なら、炭酸ガスに関する限り水力がよいとはいえない) 
AFOBAKAは例えれば、琵琶湖がないとしたとき、瀬田に高さ80mのダムを造り、
発電するようなもので、発生電力量およそ、6億KWHで
上記の比は0.84とAFOBAKA並になる。

 ギアナ高地はTable Mountainといわれ、世界一のAngel Fall(ベネゼラ)や数
百メートルの垂直の滝が幾つか存在し、水力に恵まれている。平地部はサバンナ
と熱帯林で広大な土地が自然のまま放置されている。したがって、ダムをいくら
でも造れるが、このような湛水面積の広いダム発電所の評価はどう考えればよいのであろうか?

1999.9.1 杉木清

追:AFOBAKAダムHP最初の面積と概要の面積と違っています。どちらが正しい
のですか?大勢は変わりませんが、いずれにしても、ダムの、利水・水運等に及
ぼす外部経済効果が問題ですね。

以上

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